2007 年 22 巻 4 号 p. 489-494
臨床上高齢者の脊柱後彎変形,いわゆる円背は多くみられ,バランス能力や歩行能力にも影響を与えていると考えられるが,変形の程度がどのようにバランス能力や歩行能力に影響を与えているかを報告したものは見当たらない。本研究では平均年齢79.2歳の高齢者28名(男性5名,女性23名)を対象に,Spinal Mouseを用いた脊柱アライメントとバランス能力(開眼片脚立位時間)および歩行能力(10 m歩行時間,3分間歩行距離)を測定した結果,各々に有意な相関関係を認め,「体幹が前傾する」ほど,そして「背中が丸くなる」ほど,バランス能力や歩行能力が低下することが確認されたことから姿勢を含めた評価を行う必要性が示唆された。