抄録
本研究の目的は,セグメンタル生体電気インピーダンス法(BIA)による脳卒中片麻痺患者の非麻痺側と麻痺側における筋量測定の有用性を検討することである。対象は脳卒中患者11名と健常者16名であった。脳卒中患者は発症後6ヶ月以内で,運動療法を行っていた。筋量はセグメンタルBIA法による四肢誘導12電極の筋量測定装置を用いて,仰臥位で測定した。その結果,脳卒中患者の非麻痺側筋量と健常者の左右筋量の間に有意な差が認められなかった。脳卒中片麻痺患者の麻痺側筋量は,健常成人の左右筋量より有意に低値を示した。脳卒中患者の非麻痺側と麻痺側の筋量差は,健常者の左側と右側の筋量差より有意に高値を示した。以上の結果から,セグメンタルBIA法は,脳卒中発症からの非麻痺側と麻痺側の筋量の差異を鋭敏にとらえることができ,簡便で非侵襲的な筋量測定法として理学療法の臨床で有用であることが示唆された。