2009 年 24 巻 6 号 p. 803-806
〔目的〕本研究の目的は,身体状況の顕在化を促す運動が,その後の姿勢制御課題に与える影響を検討することであった。〔対象〕実験参加者は,健常成人10名であった(平均年齢25.6±6.29歳)〔方法〕両脚立位課題(低難易度条件;実験1),片脚立位課題(中難易度条件;実験2),片脚立位不安定板課題(高難易度条件;実験3)の3種類の姿勢制御課題にて効果を検証した。椅子坐位の閉眼にて四肢,体幹の自動介助運動に意識を向けることで身体状況を顕在化し,介入の前後に身体動揺を測定した。〔結果〕片脚立位課題と片脚不安定板課題では姿勢動揺が減少したが,両脚立位課題では変化が見られなかった。〔結語〕一連の結果から,課題前の身体状況の顕在化を促す運動は,難易度の高い姿勢制御課題の姿勢動揺を減少させ得る可能性が示唆された。