2009 年 24 巻 6 号 p. 919-923
〔目的〕顎関節症(TMD)症状が開口運動に及ぼす影響を2種類の頭位にて検討することとした。〔対象〕歯科治療中でない成人22名とした。〔方法〕直立座位(UP)と頭部前方位姿勢(FHP)での最大開口時の開口量と左右下顎頭移動量をTMD群と非TMD群で比較した。〔結果〕開口量,左右下顎頭移動量は両群共,頭位による有意差はなかった。開口量と下顎頭移動量の相関は,非TMD群はUPで左右下顎頭移動量間,開口量と右下顎頭移動量及び左下顎頭移動量間に有意な正の相関がみられ,FHPで左右下顎頭移動量間,開口量と左下顎頭移動量間に有意な正の相関がみられた。TMD群はUPのみ非TMD群と同様の相関がみられ,FHPでは有意な相関がみられなかった。〔結語〕TMD症状を有する者は,頭位により協調的な下顎運動が損なわれやすい可能性が示唆された。