2011 年 26 巻 3 号 p. 341-345
〔目的〕日常生活においてしばしば行われる長時間の座位保持時間が高齢者の起立-歩行動作に与える影響について報告はない.そこで,その影響を究明するため,運動学的に検証すること.〔対象〕高齢者24名と若年者8名とした.〔方法〕座位保持直後と座位保持20分後に起立─歩行動作時での椅子と床面への荷重圧と,Functional Reach Testおよび重心動揺テスト(バランス能力)の測定をした.その比較は,高齢転倒群,高齢非転倒群と若年者群での3群比較と各群での座位保持直後と座位保持20分後とした.〔結果〕座位保持20分により高齢者はその直後の動作能力が低下するという特徴を示した.〔結論〕座位保持の影響は,高齢者のリスク管理だけでなく,安静直後の運動療法の効果的な施行を考える一助となる.