抄録
〔目的〕歩行中の骨盤回旋の左右非対称と胸部回旋,股関節屈伸,歩幅,立位姿勢との関係を運動学的に検討した.〔対象〕健常成人男性22名とした.〔方法〕三次元動作解析装置を使用し,歩行中の骨盤回旋角度と胸部回旋角度,左右股関節屈伸角度,左右歩幅および静止立位の骨盤回旋角度を計測した.〔結果〕歩行中の骨盤の左右回旋角度の差にはばらつきが認められた.骨盤と胸部の左右回旋角度の違いに関係は認められなかった.骨盤の左右回旋角度の違いに関わらず左右股関節屈伸角度,左右歩幅は一定値を示した.静止立位の骨盤回旋角度と歩行中の骨盤の左右回旋角度の差には強い相関が認められた.〔結語〕歩行中の骨盤回旋は必ずしも左右対称であるとは限らず個人差があった.立位姿勢での骨盤回旋の評価が歩行観察に役立つことが示唆された.