理学療法科学
Online ISSN : 2434-2807
Print ISSN : 1341-1667
症例研究
直腸がんによるストーマ造設と化膿性関節炎による大腿骨骨頭切除を施行したがんサバイバー1人の二つの体験
池田 耕二山本 秀美黒田 未貴河野 茉梨絵
著者情報
ジャーナル フリー

2016 年 31 巻 1 号 p. 175-180

詳細
抄録

〔目的〕がんサバイバー1人の二つの体験から理学療法ケア(心理的ケア,配慮,工夫など)構築のための有効な視点を提示すること.〔対象〕直腸がんによるストーマの造設と化膿性関節炎による大腿骨骨頭の切除を同時に体験した40歳代の男性1人とした.〔方法〕構造構成的質的研究法をメタ研究法においた事例─コード・マトリックス法とした.〔結果〕本男性の体験は,【排泄機能の変更体験】と【下肢支持機能の停止体験】という二つの体験事例と,【生活レベルの変化の感じ方】,【機能変更,停止による感情表出】,【機能変更,停止に対する受け止め方】,【患部に対する認識】,【患部に対する接触行動】,【機能変更,停止による新たな学習】の六つのコード(カテゴリー)から構成された.二つの事例比較からは,生活レベルの変化の感じ方や機能変更,停止による感情表出,受け止め方,新たな学習の内容に違いが認められ,患部に対する認識や接触行動の内容には共通したものが認められた.〔結語〕直腸がんによるストーマ造設後と化膿性関節炎による大腿骨骨頭切除後のがんサバイバーに対する理学療法ケア構築のための有効な視点が提示できた.

著者関連情報
© 2016 by the Society of Physical Therapy Science
前の記事 次の記事
feedback
Top