2018 年 33 巻 6 号 p. 1013-1018
二重課題を行うと,二重課題を構成する課題のうち一方もしくは両方の課題成績が低下する.この課題成績の低下は二重課題干渉と呼ばれ,転倒や交通事故の一因にもなっている.二重課題干渉を抑制する方法として,本稿では二重課題トレーニングに着目した.特に,① 二重課題トレーニングの転移効果,② 二重課題トレーニングを安全に行うための工夫,の2点に焦点をあて,これまでの知見から二重課題トレーニングの効果的な実施方法を検討した.また, 二重課題トレーニングを臨床で有効に活用するため, 今後取り組むべき課題についても言及した.