理学療法科学
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症例研究
歩行変動の速度依存性に着目した前庭リハビリテーションを行った多系統萎縮症患者の一症例
石田 直也二階堂 泰隆浦上 英之黒田 健司冨岡 正雄佐浦 隆一
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2021 年 36 巻 5 号 p. 753-757

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抄録

〔目的〕異なる速度条件での歩行分析から歩行障害の原因を推測し,前庭リハビリテーションを行った結果を報告する.〔対象と方法〕対象は54歳男性の多系統萎縮症(MSA-C)患者である.異なる速度条件(至適・高速・低速)で歩行分析を行ったところ,低速度条件で歩行変動が増大したため,小脳片葉小節葉の病変による平衡機能障害が歩行障害の原因と判断し,前庭リハビリテーションを9日間実施した.〔結果〕重心動揺検査とFunctional Gait Assessmentの成績が向上し,治療前に観察された低速歩行時の歩行変動が減少した.〔結語〕MSA-C患者に対して歩行変動の速度依存性に着目し,前庭リハビリテーションを行うことで歩行不安定性の改善につながった.

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© 2021 by the Society of Physical Therapy Science

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