近年,外来種の異常繁茂により,地域の生態系や我々の生活に影響を及ぼすことが多い。それゆえに,環境省は外来生物法を施行し,特定外来生物を指定して,その防除に力を注いでいる。しかしながら,いまだ水生外来植物の繁茂を促す環境要因やリスクが明確に把握されていない。そこで,本稿では岡山県南部地域の水系にて実施した水生外来植物の現況調査から,水生外来植物の侵入状況と環境特性との関係について検証した。調査の結果,水生外来植物が好む生息地は窒素やリン濃度が高い水系,市街地区域に位置する人工護岸の用排水路等,撹乱が加わった場所であることが確認された。しかしながら,在来種であっても,ヒシのような侵略的水生植物であれば,同様の傾向を示すことも明らかになった。従って,水生外来植物と対峙する場合,外来種であるから総て悪玉という概念から離れて,侵入経路・拡散機構を含めたリスクを明確にして,リスク管理の方向性を定める必要がある。また,ボタンウキクサのように,帰化の経緯を異にする系統が混在している外来種も確認したので,時間軸の概念も重要である。