陸水学雑誌
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短報
  • 桑田 正彦, 田中 和明, 鈴木 武雄, 戸田 龍樹, 名取 則明
    2018 年 79 巻 2 号 p. 101-108
    発行日: 2018/05/20
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル フリー

     SEMを使用した微小生物の形態観察は,試料作製に使用する化学薬品によって微細構造が変形し,しばしば識別を困難にする。水凍結乾燥法は化学薬品を使用しないSEM試料作製が可能な唯一の方法である。藍藻類にこの方法を使用して,あらかじめグルタールアルデヒド固定を行った場合と固定しない場合の結果を比較した。また,割断した試料の内部構造を観察した。その結果,多くの種において化学固定を行わなくても表面形状及び内部構造がよく保存されることが確認され,Oscillatoria属のチラコイドやMicrocystis属のガス胞などの細胞内部構造が従来法よりも短時間で観察することができた。Microcystis aeruginosaMicrocystis viridisにおいては,粘質鞘が隔壁で区分けされ,その中に1~2個の細胞を含んだ構造が観察された。水凍結乾燥法の試料作製時間は約1時間である。この方法は微細構造の保存性において優れているのみでなく,従来法と比較して簡単で安全に試料作製が可能な方法である。

  • 小林 淳希, 仲村 康秀, 宮下 洋平, 大洞 裕貴, 今井 一郎
    2018 年 79 巻 2 号 p. 109-117
    発行日: 2018/05/20
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル フリー

     本研究では, 2015年9月に北海道渡島大沼において発生したシロコ (乳白色ブルーム) について調査研究を実施し, その原因生物を明らかにすると共に発生機構に関して考察した。2年間に及ぶサンプリングと顕微鏡観察により,このシロコの実態は, アオコを形成する藍藻Dolichospermum planctonicum を摂餌した溶藻性原生生物Asterocaelum sp. のシストが湖面に集積したものである事が判明した。シロコ発生前,調査地点ではD. planctonicumが優占していたが (8.6 × 103 cells mL-1),シロコの発生後は藍藻Microcystis aeruginosa の細胞密度が増加した (1.2 × 104 cells mL-1)。藍藻類とAsterocaelum 属それぞれの細胞数の季節変動を明らかにしたため,D. planctonicum細胞密度の低下を定量化する事ができ,Asterocaelum属がD. planctonicumを捕食してシロコを形成するという従来の知見が裏付けられた。今後は藍藻類を原因とするアオコに加え,Asterocaelum sp. を原因とするシロコの発生も考慮に入れ,プランクトンの群集組成と水理環境のモニタリングを継続してゆく必要性が示された。

  • 平 祥和
    2018 年 79 巻 2 号 p. 119-126
    発行日: 2018/05/20
    公開日: 2019/05/20
    ジャーナル フリー

     ムナグロナガレトビケラについて,奈良県紀ノ川中流において生活環を調査した結果,2014年11月から2015年5~6月までの越冬世代と,2015年6月から10月までの非越冬世代との2世代に明瞭に分かれていることが判明した。砂や砂利などの河床間隙に主に生息することが知られる本種幼虫は,本調査でも,I齢後期からV齢中期までは河床間隙から採取された。しかし,孵化直後であるI齢初期,蛹化前であるV齢後期と蛹の多くが,河床表面にある大礫表面を利用していることが明らかになった。

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