陸水学雑誌
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原著
炭素・窒素安定同位体比によるアメリカザリガニの餌資源と捕食者に関する検討
今村 英二山室 真澄
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2022 年 83 巻 2 号 p. 103-114

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抄録

 茨城県の宍塚大池では2020年にハス群落が消失し,原因はオオクチバスが激減したことによりアメリカザリガニが増え,ハスを採食したためと考えられている。オオクチバス不在の生態系ではアメリカザリガニを捕食する動物がいるのか,またアメリカザリガニはハスなどの水草を食べているのかを検討するため,ハス群落消失以前に採取された生物試料の炭素・窒素安定同位体比を解析した。アメリカザリガニは水草類を餌としていることが確認された。ウシガエルのオタマジャクシもアメリカザリガニ同様に水草を利用していると推定された。オオクチバスは全長10 cm未満の若い個体がアメリカザリガニやウシガエルのオタマジャクシを捕食していた。アメリカザリガニはウシガエルの餌として輸入されたが,宍塚大池のウシガエルはアメリカザリガニを主な餌としていなかった。従ってオオクチバスが激減した宍塚大池ではアメリカザリガニやウシガエルのオタマジャクシを主要な餌とする動物は不在で,ハスを含む水草類の繁茂は難しいと推定された。

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© 2022, The Japanese Society of Limnology
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