陸水学雑誌
Online ISSN : 1882-4897
Print ISSN : 0021-5104
ISSN-L : 0021-5104
恐山湖の調査報告
田村 正
著者情報
ジャーナル フリー

1933 年 2 巻 3 号 p. 76-90

詳細
抄録

1.湖を涵養する水源としては主なものが9流あるが頭無川を除く外は何れもpHは中性に近く水温は湖面より低かつた。この外に温泉水が2地點より注入しこれは極めて酸性でpH 2.1-2.2なるためこれによつて湖は酸性化されること大なるものがある。
2.排水河としては唯一の正津川があるが12km.の下流の川口にてもpHは3.5を保ち魚類は棲息しない。
3.水色透明度は注入水によつて變化し春及秋には2m内外のものが夏期14m以上となり水色も3.5より10の間に變化する。
4.水温は夏期底部に於ても高温を示し躍層を作らず,上下兩層の水温の最大差と雖も4℃以下である。
5.酸素含有量は底部に於ても尚70%以上の飽和度を保つ。
6.水素イオン濃度は表面はpH3.2を普通とするが深層は常に表面に比してpH高く3.3-3.6を示した。季節的には大なる差違を認めなかつた。
7.動物中ウグヒは唯一の魚類にして多數棲息しその他水棲昆蟲數種とAsellus sp.等が見られたに過ぎない。
8.湖の植物としては湖底の大部分はLeptdictyum sp?が占めその他は沿岸部に數種類見られたに過ぎない。
9.プランクトンも他湖に比して種類は極限されて少く,最も多量出現したものはSimocephalus vetulusで他は少く特に植物性プランクトンの少量なのは著しかつた。
10.本湖に鯉・鮒等を他地方より移殖せしめたが淡水より急激に本湖中に入るれば強酸性のために數時間内に斃死した。

著者関連情報
© 日本陸水学会
前の記事 次の記事
feedback
Top