びわ湖は代表的な貧栄湖であるので,他の貧栄養湖と同じく,プランクトンは量的には少ない.
植物性プランクトンについてもCyanophytaはほとんど見られず,また,ChlorophytaもEudorina,Volvox aureus,Pediastrumを除いては,量的には甚だ少ない.しかし,Chlorophyta中のDesmidiaceaeは種類も多く,特にClosterium aciculare,Staurastrum dorsidentiferum var.ornatum,St.limneticum var.Burmense,St.paradoxum,Cosmocladium等は量的にも多く,他の貧栄養の湖と比較すると,特異な性状を示している.この特異性を持つ原因の一つには,びわ湖の歴史の古さが考えられる.
Pyrrophyta中のCeratium hirundinellaも夏期には量的にも多く,しかもこの湖特有の型を示すのも,上記の原因と関連しているものと考えられる.
なお,しらべたプランクトン材料の大部分は,筆者が副湖盆で採集したもので,採集時期は1933年以後である.