陸水学雑誌
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茶抽出液によるアオコ増殖抑制への効果
笹尾 敦子松尾 宏田中 義人
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2001 年 62 巻 2 号 p. 115-122

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抄録

茶(Camellia sinensis(L.)O.Kuntze var.sinensis)の水抽出液により,アオコ発生の制御の試験を試みた。茶の水抽出液(風乾した茶葉1gに100mLの水を加え,120℃,15分間オートクレープした液。この溶液の濃度は10gL-1で表す)でアオコの原因藻類の1つであるMicrocystis aeruginosaの増殖阻害試験を行った。その結果,5day-EC50が7.7mgL-1で,茶の抽出液がM.aeruginosaの増殖阻害に有効であることが明らかになった。また,同様に緑藻類のSelenastrum capricornutumに対しても3day-EC50は10.8mgL-1でM.aeruginosaと近い値を得た。このEC50の濃度ではミジンコ及びヌカエビの生育阻害は起こらないので(48hr-LC50,4day-LC50はいずれも約430mgL-1),茶抽出液による藻類増殖阻害濃度は自然界の動物に対する影響は少ないと考えられた。

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