陸水学雑誌
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恐山湖プラクトンの研究最近の変化と夏期垂直分布
益子 帰来也
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1938 年 8 巻 2 号 p. 45-52

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抄録

1. 1936年夏に於いては恐山湖湖水の停滯は極めて顯著であつた。1931,32年の徴弱であつたに對し,1934年以降は一般に夏期成暦は著しい。
2. 出現プランクトンは近年(1934年以降)著しい變化を示し,主要なるものの中で減少したものはSinxocephalus vetulus(O.F.Muller),Chydorus sphaericus O.F. Muller,増加したものはCyclops fuscus Jurine, Barchionus urceolaris O.F.Muller等であつた。而して此のS.vetulusとC.fuscusとの交代が最も大きい變化である。また此の變化が湖水の夏期成暦状態の變化と並行して起つてゐる事は注目に値す可く,言ふ可くんば湖水状況の變化がプランクトンの鍾により,其の蕃殖に對し異つた影響を與へた如く思はれる。
3.6月28~29日にはC,fuscnsの若體及びnaupliusは酸素消失暦直上の變水暦に終日最大分布を示し,僅かに夫々nocturnal, twilight migrationの傾向を示した。
4.8月4~5日にはC.fuscusの成體は夜間上昇が認められ,若體は變水層に終日最大分布して幾分夜間上昇し, naupliusは6月末と逆に表面に終日最大分布を示した。Brachionus urceolarisは表面に大部分集まるのが見られたが,ただ朝6時には上記naupliusと共に最大分布層が少しく下方に移つて,此の朝の相當に強い降雨に原因するかと推察される樣子を呈した。

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