抄録
胃,十二指腸の外科的疾患に対する手術術式に関しては数多くの方法が試みられて来ておるが,その優劣に関しては各人各様の追跡調査及び判定が行われている為に同一観点に立って比較検討する事は不可能である。
特に最近reservoirとしての胃機能を出来るだけ保持しようとする胃保存手術,いわば手術におけるPhysiological approachなる考え方が拾頭してくるや尚のこと,既存の手術法との厳正なる優劣比較調査が必要となって来た。かかる観点から,我々は既に手術効果追跡調査の為に本邦における統一アンケート方式が速やかに確立され実施される事の必要性を訴え,その為に独自のquestionnaireを作製し一試案として提出した。今回はこのquestionnaireによる集計と判定について独自の判定方式を考察し提出してみた。
即ち過去における国内外の諸氏による集計方法の欠点,利点につき十分検討した上で,特に胃切除による直接的影響のみならず,間接的影響をも調査し,その回答を自覚的満足度と他覚的満足度に分け,その各々に含まれる項目に対して,重要度に応じて〓2点から⊕2点の範囲で点数負荷を行い,各々の総和をもって総合判定する方式である。
総合判定には⊕10点以上をexcellent(優秀), ⊕3点~⊕9点をgood(良好), ⊕2点~〓2点fair(普通), 〓3点以下をpoor(不良)と判定するようにした。
勿論,不良例,著明にアンバランスな回答内容を示す例等は更に面接,検診を追加し,判定の修正を行うようにしておる。
かくて自験例における集計と総合判定を行い,不良例の検討,自覚的満足度と他覚的満足度の点数差の著しい,いわゆるアンバランス例について詳細な検討を行い,高令者や神経質で自律神経機能不安定な若年者にかかる不良例やアンバランス例の多い事を解明し,これらから本アンケート方式の限界,信用度,今後の課題について言及してみた。