日本臨床外科医学会雑誌
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非切除,非手術末期胃癌に対する癌化学療法の臨床的研究
MMCおよびMFC療法を中心として
竹口 甲二
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1979 年 40 巻 1 号 p. 35-48

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抄録

胃癌の治療に当っては,現在迄のところ手術療法が最も有効であるということは異論のないところであるが,この手術療法から見はなされた切除不能および手術不可能な所謂末期胃癌の治療成績向上のために癌化学療法を行ない,臨床的効果,延命効果,副作用,病理組織学的効果などについて検討を行った.
62例の非切除および非手術末期胃癌に対して癌化学療法(I群MMC単独療法36例, II群MFC療法26例)を行ない21例のコントロール群と比較検討した.
日本癌治療学会効果判定基準による軽快率はMMC群27.8%, MFC群34.6%, Karnofsky基準の1-A以上はMMC群22.2% MFC群34.6%と対照群に比べ明らかな効果を示した.また, MFC群ではKarnofskyの1-Cを2例認めた.
延命効果は,対照群に比し, MMC群では50%生存日数で56日,平均生存日数で69.3日, MFC群では50%生存日数で63日,平均生存日数で98.2日の延長を見た.
副作用は血液学的副作用として白血球減少,自覚的副作用として食欲不振が主なものであり,両群共に認められるがMFC群では, MMC群に比べ出現率が高く認められた.
経時的に内視鏡による胃生検を行ない病理組織学的効果について検討を行なったが,効果は大星らのGrade IIB迄であった.また,臨床的効果と病理組織学的効果はほぼ相関関係を示した.
MMC療法, MFC療法ともに末期胃癌の寛解導入療法として有効であった.
治療効果の点では, MFC療法が優れ,副作用の点ではMMC療法の方が軽度であった.従って症例に応じた使い分けが必要である.

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