日本臨床外科医学会雑誌
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消化管吻合部狭窄に関する臨床的研究
勝見 正治殿田 重彦河野 暢之浦 伸三岡村 貞夫森本 悟一山口 敏朗広田 耕二今井 敏和松本 孝一橋本 忠明山本 真二
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1979 年 40 巻 4 号 p. 604-609

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抄録

教室に於ける過去5年間(昭和49年~53年)の食道,胃,大腸手術例から,教室独自の吻合部狭窄の判定基準に従い,厳密に狭窄例を取りあげ,発現頻度,原因,治療,予後等に関する臨床的検討を行った.
発現頻度は,食道吻合20/177 (11.3%),胃吻合13/461 (2.8%),大腸吻合24/144 (20.5%)で,そのうち,重症例は食道7例,大腸5例である.
食道,胃,大腸手術例をさらに術式別あるいは吻合臓器別に検討すると,食道の頚部吻合,大腸の前方切除術及びpull-through術式に多くみられた.
原因では,一過性の軽度の狭窄例は,浮腫やminor leakageであるが,重症例は, major leakageを主とした瘢痕性収縮が主なものである.
治療法については,食道の高度な狭窄例は内視鏡下に電気メスで切開するのが最も有効であり,又,前方切除術後の狭窄例は,術後早期から手指によるブジールングが有効であった.
胃吻合には,重症例はなく,いずれも保存的に治癒し,外科的処置を必要とした例は皆無であった.

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