日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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40 巻, 4 号
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  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 537-553
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 553-563
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 563-577
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 578-603
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 勝見 正治, 殿田 重彦, 河野 暢之, 浦 伸三, 岡村 貞夫, 森本 悟一, 山口 敏朗, 広田 耕二, 今井 敏和, 松本 孝一, 橋 ...
    1979 年 40 巻 4 号 p. 604-609
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
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    教室に於ける過去5年間(昭和49年~53年)の食道,胃,大腸手術例から,教室独自の吻合部狭窄の判定基準に従い,厳密に狭窄例を取りあげ,発現頻度,原因,治療,予後等に関する臨床的検討を行った.
    発現頻度は,食道吻合20/177 (11.3%),胃吻合13/461 (2.8%),大腸吻合24/144 (20.5%)で,そのうち,重症例は食道7例,大腸5例である.
    食道,胃,大腸手術例をさらに術式別あるいは吻合臓器別に検討すると,食道の頚部吻合,大腸の前方切除術及びpull-through術式に多くみられた.
    原因では,一過性の軽度の狭窄例は,浮腫やminor leakageであるが,重症例は, major leakageを主とした瘢痕性収縮が主なものである.
    治療法については,食道の高度な狭窄例は内視鏡下に電気メスで切開するのが最も有効であり,又,前方切除術後の狭窄例は,術後早期から手指によるブジールングが有効であった.
    胃吻合には,重症例はなく,いずれも保存的に治癒し,外科的処置を必要とした例は皆無であった.
  • 特に胃癌患者を中心に
    田渕 崇文
    1979 年 40 巻 4 号 p. 610-626
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
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    免疫不全状態を背景にしている担癌宿主の細胞性免疫能の変動を観察することは,治療の選択,予後判定の一指標となると考え,手術施行担癌患者に5FU, FT-207及びMMCの単独或は併用による化学療法, OK-432による免疫療法,さらに両者を併用した免疫化学療法を胃癌症例63例を中心に計98例に独自のプロトコールにのっとり施行し,細胞性免疫能の変動を末梢血T細胞,遅延型皮膚反応で観察した.
    I. 実験方法
    1) T細胞測定:比重1.077のSodium Metrizoate ficollを用い,比重遠心法にて分離したリンパ球をマイクロテストプレート法にてT細胞とB細胞に織別した.
    2) 遅延型皮膚反応: PPD及びPHAを抗原として,患者前腕に皮内接種し,平均紅斑径を測定した.
    II. 実験結果及び結語
    (1) 化学療法により担癌宿主の細胞性免疫能は低下する.
    (2) 多剤化学療法に於いてその傾向は著明であった.
    (3) 治癒切除例では,化学療法による細胞性免疫能低下は軽微であった.
    (4) 免疫療法により担癌宿主の細胞性免疫能は保持向上する.
    (5) 非切除例及び再発例では,細胞性免疫能は保持向上は殆んど期待できない.
    (6) 免疫化学療法でも,担癌宿主の細胞性免疫能は保持向上され,化学療法による殺腫瘍効果と免疫療法による免疫賦活効果の相乗効果が期待できる.
    (7) いずれの治療法に於いても残存腫瘍の大きい非切除例及び再発例では,その効果はあまり期待できない.
    (8) 現状に於いて,担癌宿主の細胞性免疫能を経時的に観察しつつ,化学療法に免疫療法を併用した免疫化学療法が最も有効である.
  • 佐藤 公望
    1979 年 40 巻 4 号 p. 627-644
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
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    近年,経静脈性高カロリー輸液(IVH)の発展に伴ない,その適応は拡大され術後早期から積極的に用いられる気運になってきたが, Surgical Diabetes期を十分に考慮し,各種代謝性合併症の発生を避けなくてはならない.そこで,著者は術後早期における適切なIVH導入法の確立を目的として,術前経静脈性ブドウ糖負荷試験(IVGTT)による耐糖能(K値)から各種病態を把握し,これをもとに各種IVH導入法を設定し,血糖,血清インスリン濃度(IRI),血漿グルカゴン濃度(IRG)の面から検討を加えた.
    耐糖能正常群(K≧2.5)では,比較的若年者や良性疾患例が多く,糖負荷に対するIRI, IRGの変動からみた反応も良好であり, surgical diabetes期も術後24時間と短かく, IVH導入においても急速導入によく耐容した.
    耐糖能境界域群(2.5>K≧2.0)では,悪性腫瘍が多く,年齢もやや高齢で,糖負荷に対するIRGの抑制反応は正常群と同様であったが, IRIの変動は初期分泌能が悪く, surgical diabetes期も術後1~2日とやや延長しており, IVH導入としては中間導入が適していると思われた.
    耐糖能低下群(K<2.0)では,膵疾患,門脈圧亢進症およびその他の疾患より成っていた.糖負荷に対して,膵疾患ではIRIの著しい低反応とIRGの抑制の低下があり,門亢症では負荷前より高グルカゴン血症が持続した.その他の疾患では糖負荷に対するIRIの上昇反応とIRGの抑制反応が共に弱かった.これらの群では, surgical diabetes期は術後3日前後と延長しており, IVH導入にあたっては,十分馴化をおく緩徐導入が望まれ,インスリン併用の必要性が示された.
  • 乳癌,胃癌,大腸癌について
    三浦 馥, 川瀬 恭平, 山口 晃弘, 近藤 成彦, 岩瀬 克己, 福慶 逸郎, 服部 龍夫
    1979 年 40 巻 4 号 p. 645-651
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
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    癌の手術における必要かつ十分なリンパ節廓清のためには,リンパ節転移の有無を術中に正確に診断することが重要であり,外科医に対し肉眼的判定の熟練が要求される.乳癌65例,リンパ節1,143個,胃癌101例, 2,517個,大腸癌52例, 868個の手術標本を検索材料として,リンパ節転移の肉眼的判定と組織診とを比較検討し,肉眼的判定についての反省を行い正診率向上の一助とすることを目的とした.
    乳癌におけるリンパ節転移の有無の肉眼的判定適中例は66%,過大評価(読み過ぎ)例28%,過少評価(読み落し)例6%であり,胃癌では適中例70%,過大評価例19%,過少評価例11%,大腸癌ではそれぞれ77%, 23%, 0%であった.胃癌において早期癌例に適中率が高く,進行癌に過少評価の例が多い傾向を認めた.標示番号別ではとくに(12)番リンパ節で過少評価が目立った.乳癌,大腸癌では過大評価の例が多くとくに大腸癌の誤診例はすべて過大評価例であった.誤診例の個々のリンパ節を検討し,過少評価の主な原因として微小転移巣,肉眼観察不十分が,過大評価の原因として二次小節増生またはsinus histiocytosisによるリンパ節の腫大,硬度の増加などが考えられた.乳癌ではsinus histiocytosis,大腸癌では二次小節増生が高頻度かつ高度に認められ,特徴的な所見であった.リンパ節の大きさは肉眼的判定にあまり有用ではなかった.
    リンパ節転移の肉眼的判定の正診率向上に大切なことは,大きさ,硬さにとらわれることなく,そのリンパ節の組織像を頭に描きつつ割面を仔細に肉眼観察する態度と,病理組織学的訓練の積み重ねにあると考える.
  • 倉田 悟, 植木 幸一, 中原 泰生, 森 文樹, 守田 知明, 兼行 俊博
    1979 年 40 巻 4 号 p. 652-656
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    70歳以上の手術症例(137例)で術後合併症と死因について分析し,その治療及び予防対策を検討した.術後30日までの手術死亡は16例で, 5例(30%)は緊急手術例であった.各種の合併症を63例(46%)に認めたが,肺合併症が38%と最も高率で,死亡例も多かった.高齢者では術前の肺機能検査成績のみから肺合併症の発生を予測することは困難であるため術中,術後の集中管理が特に重要である. 8例にSwan-Ganz Catheterを挿入し術前,術後の心拍出量,肺動脈圧,及びSpirometerで一回換気量と分時換気量を測定したところ,術後1日又は3日目に心拍出量,肺動脈圧は高値を示し,肺動脈平均圧が19mmHg以上を示した3例では, 1例が肺炎, 2例に肺水腫を来した. 1回換気量は術後1日目に著明に低下し,呼吸数は増加した.分時換気量は肺合併症発生群や人工呼吸群では術前値を上回った.これはHypoxic Hypeventilationによるものである.我々は術前肺機能異常を示した症例,手術時間が4時間を越えると予測した症例に対し,術前よりSwan-Ganz Catheterを挿入して循環動態の変化を把握すると共に,積極的に人工呼吸を行ない合併症の予防と治療に努めている.
  • 野見山 保, 皆川 博美, 後藤 誠一, 池田 恵一, 池尻 泰二, 鎌田 重之, 松股 孝, 松坂 俊光, 菊地 昌也
    1979 年 40 巻 4 号 p. 657-664
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    Aganglionosisは,新生児及び,乳児期で発症する代表的な先天性消化器疾患であるが,成人にいたるまで慢性便秘として内科的に治療されている潜在的なAganglionosisもあり,近年,その診断,治療法の解明にともない.外科的治療がなされるようになって来た.
    過去8年間に国立福岡中央病院で行なわれた成人のAganglionosisは5例であった.症状は,便秘,腹部膨満,腹痛であった.全例とも直腸生検,注腸造影検査で術前診断は確定し,手術はZ型吻合法を4例に行なった(1例は手術待機中である).術後経過は4例とも良好で, (排便は1~2回/日あり,他の症状は軽快している),術後愁訴改善率は100%であった.
    本邦に於ける成人のAganglionosisは自験例を入れ14例の報告がある(Hirschsprung's Diseaseとして報告のあったものでOligoganglionosisは8例あったが,その発生機序から考えてHirschprung's Diseaseとは分離して考えるべきであろう).報告のあった例について,その臨床経過,診断法,手術術式及び,術後経過について統計的考察を行った.
  • 水野 敏彦, 本多 俊伯, 石井 郁雄, 西田 茂, 武 豪, 大熊 康晴, 富永 幹洋, 西村 五郎
    1979 年 40 巻 4 号 p. 665-671
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    出血性胃十二指腸疾患の取り扱いについては,多くの報告があるが,その治療法については未だ大きな問題が残されている.今回我々は自験例20例を詳細に検討し,併せて文献的考察を加え,我々の見解を述べた.
    20例の内訳は,男19例,女1例であり,出血を来した粘膜の変化は,悪性1例,良性19例で, 19例の良性中いわゆるAGMLは13例で,慢性潰瘍が6例であった.出血部の診断方法には,緊急内視鏡と血管撮影があるが,緊急内視鏡で94%の,血管撮影で63%の診断率であった.
    一方,我々が採用した保存的療法では,酸中和療法,抗潰瘍剤投与を治療の第1選択とし,これらの治療に抵抗を示したり,時間当りの出血が多量な場合に止血という観点より, angiotheraphyを試みてきた.その結果,酸中和療法,抗潰瘍剤投与で12例に, angiotherapyで4例の16例が止血に成功した.一方手術を施行したのは4例であるが,そのいずれもたいした合併症もなく生存している.
    我々は昭和42年より51年までの術後上部消化管出血の16症例に対し,主として行なった胃冷却の保存的療法での止血成功率は5例(31.3%)であった.これに比し今回採用した.酸中和療法,抗潰瘍剤投与, angiotherapyの保存的療法では, 16例(80%)が止血に成功し,その有要性を強調したい.
  • 曹 桂植, 藤堂 泰三, 新田 貢, 頼 明信, 土肥 浩義, 梅山 馨, 青木 豊明
    1979 年 40 巻 4 号 p. 672-678
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    先天性胆道拡張症は欧米では比較的希れな疾患であると言われているが,本邦においては膵胆管合流異常を伴う疾患として多くの報告をみる.われわれは最近肝内胆管拡張を伴った巨大な総胆管嚢腫を経験したので報告する.
    症例は14歳,女性で,嘔気,腹部腫瘤,黄疸を主訴として昭和52年2月18日当科に入院した.逆行性膵胆管造影,超音波エコー,胃・十二指腸造影,膵シンチグラム,胆道シンチグラム,選択的腹腔動脈撮影を行い肝内胆管拡張を伴った総胆管嚢腫と診断しえた.しかし入院後も腹部腫瘤は漸時増大し,閉塞性黄疸を呈したため経皮経肝胆管ドレナージ術を行い嚢腫の腫小,減黄を待って手術を行った.手術は総胆管嚢腫摘出後,総肝管・空腸吻合術(Roux-enY)を行った.
    嚢腫は液量が5.300mlにも達する巨大なものであった.嚢腫の内容液が5.000ml以上にも及ぶ症例の報告は数少なく欧米で5例,本邦では自験例を含めて7例の12例にすぎなかった.これらのうちでも嚢腫摘出を行い治癒しえたのは自験例のみであるが,これは超音波診断,胆道シンチ,逆行性膵胆管造影等診断技術の著しい発達,そして麻酔を含む小児外科の発達とともに経皮経肝胆管ドレナージ術の発達により術前に嚢腫の縮小,減黄そして全身状態の改善によって安全に手術が行われるようになったためと思われる.さらに巨大嚢腫例,本疾患について文献的に検討し成因,主訴,術前診断,手術々式について考察する.
  • 固有肝動脈遮断後の病態生理を中心に
    内山 貴堯, 下山 孝俊, 北里 精司, 高木 敏彦, 長谷川 宏, 石川 喜久, 石井 俊世, 内田 雄三, 三浦 敏夫, 調 亟治, 辻 ...
    1979 年 40 巻 4 号 p. 679-685
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    胆嚢の進行癌で肝動脈に浸潤を認めた60歳,男性に,意図的に肝固有動脈を切断して膵頭十二指腸切除を行なったので,術後の病態生理を中心に報告するとともに,イヌにおける実験的肝動脈遮断後の門脈・肝静脈血のガス分圧,肝機能の変動等を測定した成績について若干の考察を加えた.胆嚢の癌腫は膵頭部に達し総肝動脈にも浸潤を認めたが,門脈とは容易に剥離できたため膵頭十二指腸切除を行ない,膵尾部は結紮して閉鎖して消化管を再建した.術後の肝機能の推移ではGOT, GPT, LDHは術直後より上昇したが, 1~2週で正常に復した.血清アルブミン,総コレステロールは1~2週の間に低下を示し, chEは低値で推移した.術後1カ月目に行なった腹腔動脈造影では総肝動脈断端部および胃動脈より細い側副血行路が形成されて肝両葉に分布し,門脈系は良好な血行が認められた.イヌを用いた肝動脈遮断実験では,大気圧下では門脈血中の酸素および炭酸ガス分圧は遮断前後で変動はなく,肝静脈血中の酸素分圧の低下と炭酸ガス分圧の上昇がみられた.高濃度の酸素を投与した場合の酸素分圧は動脈血での著明な上昇にも拘らず,門脈血での上昇はみられなかった.これらの成績とともに肝動脈遮断における門脈循環の維持の重要性について術後管理の面から強調した.
  • 武藤 良弘, 内村 正幸, 脇 慎治, 鮫島 恭彦, 立花 正, 大津 哲雄, 林 輝義, 門野 寛, 岡本 一也
    1979 年 40 巻 4 号 p. 686-692
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    いわゆる胆嚢管遺残(cystic duct remnant)症例を臨床病理学的に検討し,加えて本症の遺残部の病変を一般の胆摘例の胆嚢管および胆嚢頚部の病変と比較した.
    症例は5例で年齢は44歳~64歳に分布し,男性3例,女性2例であった.初回手術より,今回の手術までの平均期間は6.2年であり,全例胆石症様疼痛を訴え,胆管結石を伴なう2例に黄疸をみた.胆道造影で4例に遺残部が描出され, 1例は全く造影されず, 1例にのみ結石陰影を認めた.切除した遺残部内には全例結石が存在し,その中1例は絹糸を核とするビ系石であった.遺残部の長さは4cm~6cmで, 5例中2例は遺残部は胆嚢様形態を呈していて胆嚢遺残(gallbladder remnant)と称すべきであった.遺残部を組織学的にみると,全例に炎症細胞浸潤および結合織の増殖がみられ,そのために壁は著しい肥厚を呈していた.さらに全例に粘液腺ならびにR-Aの増殖を伴なっていた.
    他方一般の胆摘症例317例の胆嚢管ないし胆嚢頚部の組織学的変化をみると,炎症や線維増殖により著しい壁肥厚(5mm以上)は44例(13.9%)であり,粘液腺は167例(52.7%)にみられ, R-Aは179例(56.5%)に存在していた.
    両者の成績を比較してみると, cystic duct remnant症例における遺残部の病変が著しく,多彩であるといえる.しかし一般の胆摘症例でも胆嚢管に著しい肥厚性病変を示す例が約10%と存在する.胆摘に際して胆嚢管の病変部を含め,かつ総胆管を損傷しないように切除するのが本症の予防的見地からみた合理的胆摘術と考える.
  • 東 弘志, 日下部 輝夫, 小河原 当元, 鈴木 親良, 舟木 正朋, 片岡 徹, 石井 淳一
    1979 年 40 巻 4 号 p. 693-700
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    経中心静脈栄養法(IVH)をはじめとする,術前・術後管理の進歩に伴い,小腸広範囲切除の機会は多くなってきている.しかしながら,小腸広範囲切除後のいわゆるshort bowel syndromeと呼ばれる消化吸収障害を中心とする病態に関しては未だ十分解明されておらず,今後その治療も含めて解明していかねばならない.
    われわれは最近,超広範囲小腸切除の1例を経験したので,症例の概要と小腸広範囲切除に関する若干の考察を加えて報告する.症例は71歳の男性で,急性腹症の診断で開腹術を施行した.その結果,上腸間膜動脈血栓症であり,小腸広範囲切除と結腸右半切除の併施を余儀なくされた.結局, Treitz靱帯から20cmの長さの空腸を残すのみとなり,空腸・横行結腸端々吻合を行った.術後経過においてPullanのいう第1期では軽度の消化管出血がみられたが,著明な下痢や縫合不全もなく,比較的無難に切り抜けられ,決定的な事態には至らなかった.これにはIVHが非常に有効であったことを強調したい.しかしながら,第2期の1年経過時点では軽度の低色素性貧血,肝機能障害,一部電解質異常(P, Mg, Fe)がみられた.また,糖吸収障害もあり, D-xylose吸収試験から推して絶対的な腸管吸収面積の不足が考えられ,当然のことながら脂肪と蛋白質の吸収障害が存在するものと推測される.今後,保存的にはelemental dietや中鎖脂肪(MCT)などにより,また状況によっては再度IVH施行により栄養補給に努め,欠乏電解質やビタミンの補給にも十分注意を払う必要がある.また, antiperistaltic segment (reversed segment)やrecirculating loopの挿入など外科的処置を検討する必要もあるかと考えている.
  • 井口 公雄, 稲葉 征四郎, 柴田 純祐, 田中 承男, 小玉 正智, 橋本 勇
    1979 年 40 巻 4 号 p. 701-707
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    われわれは,悪性黒色表皮腫に多彩な消化管病変を合併した一例を経験したので,検討を加え,報告する. 70歳男性で,皮膚色素沈着を主訴として受診し,黒色表皮腫と診断された.消化管精査の結果,胃癌・多発性大腸ポリープを認め,胃亜全剔術,術後内視鏡下ポリペクトミーを施行した. I及びIIa重複m胃癌,多発性胃粘膜下嚢腫,ブルンネル腺腫を認め,二群リンパ節は,転移陽性であった.大腸ポリープのうち, 1個は, sm癌で, S状結腸切除を付加した.上記切除後,皮膚病変は,軽快し,術後9カ月,再発の徴候はない.本症に合併する癌の予後は,不良であると報告されているが,われわれは,この点に着目し,教室における同ステージ胃癌と, PPD, PHA皮内反応, PHA Blastoid transformationについて,比較してみたところ,本症例の細胞性免疫能の低下を示唆する結果を得た.
  • 館林 欣一郎, 年光 昌宏, 長島 正明, 国吉 巖, 森田 理生, 藤本 繁樹, 本間 喜一
    1979 年 40 巻 4 号 p. 708-712
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    2例の仙尾部奇形腫を経験した.第1例は生後6日目にイレウス状態で来院したが,腫瘤は仙尾部から腹側に大きく進展していた為,腹・仙部到達路によって,一塊として全摘出し,良好に経過した.組織学的には良性の奇形腫であった.第2例は生下時から仙尾部に軽度の膨隆をみとめていたが, 2年6カ月後に排便障害を訴えて来院した.直腸指診で腫瘤は仙骨前から腹側に進展していたので,同様に腹・仙部到達路で摘出した.腫瘤はすでに殿筋内に浸潤していた為,一部は摘出し得なかった.組織学的には奇形腫ではあるが,腺様構造を示している部位に,癌と考えられる部があった. 4カ月後に仙尾部に再発し, alpha-fetoprotein も陽性で,高値を示し,再度摘出した.再発した腫瘤の組織像は,悪性度が強く胎生癌の範囲に入る.その後,三度び腫瘤が殿部だけでなく,腹部及び肺に出現しalpha-fetoprotein も102,400ng/mlに達した.化学療法や放射線療法も効果なく,死亡した.
    仙尾部は奇形腫の好発部位であって, Altmanはその進展様式から4型に分類しているが,今回報告した2例は,仙尾部から腹腔内に進展を示す第3型に当る.この型の摘出は,仙尾部のみでなく,腹部からの到達路を加えることによって,初めて完全になし得るものであり,とくに栄養動脈である中仙骨動脈を最初に処理すると,以後の出血が少い.大切なことは,生後日時が経過するにつれて悪性像が増加することであって,少なくとも生後1カ月以内に,完全に摘出することが強調される.又,悪性化した場合には,血中の alpha-fetoprotein が陽性に現れることが多いので, alpha-fetoprotein の測定は,悪性化や再発の指標になると考えられる.
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 724-743
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 743-762
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 762-782
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 782-801
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 801-807
    発行日: 1979年
    公開日: 2012/08/03
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 40 巻 4 号 p. 807-825
    発行日: 1979/07/01
    公開日: 2009/09/30
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