抄録
症例1は63歳男性で,黄疸を伴ない, ERCP施行後急性壊疽性胆嚢炎を併発, 3カ月間の総胆管ドレナージの後,総胆管十二指腸吻合術を行なった.症例2は61歳男性で,膵頭部癌が疑われ,膵頭十二指腸切除術を行なった.症例3は37歳男性で,重症の糖尿病を合併した膵石症であり,膵管空腸側々吻合術の後, 3カ月を経て総胆管十二指腸吻合術を行なった. 3例共術前にERCPを行ない,症例3は狭窄部が4cmに達していた.組織所見では, 3例共炎症所見及び膵の線維化が認められた.症例1の黄疸は術後消失した.疼痛は3例共消失ないし軽快した.
これらの症例に対する診断,手術適応,術式の選択およびその効果について検討した.