日本臨床外科医学会雑誌
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下肢脈管疾患におけるRIアンギオグラフィーの臨床的研究
友成 正紀
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1982 年 43 巻 3 号 p. 219-232

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抄録
1975年より1979年の5年間に当施設にて扱った下肢脈管疾患のなかから203例を対象にRIアンギオグラフィーを行い,従来よりの血管造影と対比しながら研究を行った.今回対象とした主な疾患は閉塞性血管炎57例,閉塞性動脈硬化症46例,レイノー症候群6例,静脈血栓症41例,リンパ浮腫12例などであるがレイノー症候群の6例はその主病変が上肢に見られることが多く今回の対象からは除外した. RIアンギオグラフィーの撮影にはNuclear Chicago社製whole body scinticameraを使用した.まず全例に99mTC-H. S. A.を静注したのち,趾尖より頭部方向へ120cmの範囲でのシンチスキヤンを行ってEquilibrium法として両下肢の血流分布図を作製し検討した.こうして得られた画像および黒化度の百分率は末梢における動静脈および末梢循環を含めた総合的な血流分布と想定することができ,また黒化度百分率を計測することにより血管床容量の定量も可能となるので,この比率をもって血流の良否を判定した.しかし,本法は動静脈複合シンチグラムとなるため動脈疾患については99mTC-H. S. A.静注法によるFirst pass法,塞栓粉子である99mTC-M. A. Aを用いた動注法, 201TI-Cl静注法による組織血流分布図の作製,さらには皮膚温,容積脈派法などの検査法を症例により併用した.同様に静脈疾患についても99mTC-H. S. AによるFirst pass法, 99mTC-M. A. A.静注法を併用し比較検討した.以上の結果, 99mTC-H. S. A静注法によるEquilibrium法を中心に99mTC-H. S. A静注法によるFirst pass法,および201TI-Cl静注法を併用することにより,下肢脈管疾患の診断,治療方針の決定,術後血行動態のfollow upにRIアンギナグラフィーは有用かつ簡便な検査法であることの結論を得た.
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