Periarteritis nodosaは全身諸臓器をおかす血管炎で,消化器症状は比較的高率に認められるが,開腹術を必要とする症例は少ないといわれている.われわれは最近,胃,小腸,大腸の多発性壊死性潰瘍をきたし,透過性腹膜炎を合併し死亡した71歳男性と,回腸末端の多発性壊死性潰瘍で,手術により救命し得た55歳男性の2症例を経験し,組織診でPNの診断を得たので報告する.
又, PNで開腹術が施行された本邦報告例は自験例を含め33例で,男性21例,女性12例で男性に多く,年齢は9~77歳,平均50.6歳で,中高年層に好発していた.小腸病変は18例にみられ,最も高率で,主に腸間膜付着部対側に位置する輪状,斑状または分節状の多発性壊死性潰瘍で, 8例に穿孔がみられた.胃病変は7例で,胃角部小弯の島状ないし帯状潰瘍が多かった. 33例の予後は生存16例,死亡15例,不明2例で死亡率は48.4%であった.