日本臨床外科医学会雑誌
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消化管壊死をきたしたPeriarteritis nodosa (PN)の2例-本邦PN開腹例33例の検討-
碓氷 章彦蜂須賀 喜多男山口 晃弘近藤 哲堀 明洋安井 章裕広瀬 省吾山田 育男深田 伸二宮地 正彦渡辺 英世
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キーワード: 消化管壊死
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1983 年 44 巻 12 号 p. 1469-1476

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抄録

Periarteritis nodosaは全身諸臓器をおかす血管炎で,消化器症状は比較的高率に認められるが,開腹術を必要とする症例は少ないといわれている.われわれは最近,胃,小腸,大腸の多発性壊死性潰瘍をきたし,透過性腹膜炎を合併し死亡した71歳男性と,回腸末端の多発性壊死性潰瘍で,手術により救命し得た55歳男性の2症例を経験し,組織診でPNの診断を得たので報告する.
又, PNで開腹術が施行された本邦報告例は自験例を含め33例で,男性21例,女性12例で男性に多く,年齢は9~77歳,平均50.6歳で,中高年層に好発していた.小腸病変は18例にみられ,最も高率で,主に腸間膜付着部対側に位置する輪状,斑状または分節状の多発性壊死性潰瘍で, 8例に穿孔がみられた.胃病変は7例で,胃角部小弯の島状ないし帯状潰瘍が多かった. 33例の予後は生存16例,死亡15例,不明2例で死亡率は48.4%であった.

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