日本臨床外科医学会雑誌
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乳腺外来生検症例の検討
芳賀 陽子芳賀 駿介小川 健治松本 紀夫飯田 富雄中田 一也菊地 友允服部 俊弘梶原 哲郎榊原 宣
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1983 年 44 巻 2 号 p. 122-126

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抄録
過去11年間に当科外来において乳腺の生検がなされた症例は830例あり,このうち良性疾患は647例(78.0%),悪性疾患は183例(22.0%)であった.男女比は女性775例(93.5%),男性55例(6.5%)で,男性に悪性疾患はなかった.今回は女性生検症例775例について,その年次的な推移や各疾患別特徴などについて検討した.
生検症例数の年次推移をみると漸次増加の傾向を示し,とくに30歳代の症例,悪性疾患例が増加している.
年齢別では30歳代がもっとも多く239例(30.8%),ついで40歳代199例(25.7%), 20歳代175例(22.6%)の順である.
疾患別では乳腺症がもつとも多く285例(36.8%),ついで線維腺腫195例(25.5%),癌腫183例(23.6%)となっている.この3疾患につき年齢別にみると,乳腺症は30~40歳代に,線維腺腫は20~30歳代に,癌腫は40歳以上に多い傾向が認められる.
癌腫の生検症例に占める割合は, 40歳代では29.0%であるが, 50歳代62.8%, 60歳代75.5%, 70歳代83.3%,となっている.
乳腺症と癌腫の多くみられる40歳代の症例ではとくにその鑑別診断に留意し,乳腺症の組織診断であっても長期にわたる経過観察が必要である.
以上,乳腺の腫瘤を主訴とした生検症例における検討の結果, 40歳代以上の症例には癌腫の発生率が高く,腫瘤を認めたものについては生検を行うべきであると考える.また,乳腺症と組織診断されたものでは長期にわたる経過観察が必要である.
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