抄録
乳腺に原発する肉腫は比較的稀なものであるが,我々は2例を経験したので報告する.
症例1は56歳女性で左乳房C領域に5×5cmの弾性硬の腫瘍を認あた.術中迅速標本で腺癌との組織学的診断をえて,定型的乳房切断術を施行した.術後の組織学的検査で, Reticulum cell sarcomaとの診断をえた.症例2は59歳女性で右乳房A領域に4×3cmの弾性硬の腫瘍を認めた.術中迅速標本で腺癌との組織学的診断をえて,拡大乳房切断術を施行した.術後組織学的検査でosteoid sarcomaとの診断をえた. 2症例はいずれも術後5年生存をえており,肉腫においても合併化学療法が有効であったと考えられた.