日本臨床外科医学会雑誌
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両側乳癌
邑山 洋一三島 好雄
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キーワード: 両側乳癌, 乳癌術後照射
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1984 年 45 巻 8 号 p. 1089-1094

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抄録

乳癌263例中にみられた両側乳癌18例を対象に転移性と原発性の臨床的事項及び病理組織学的事項の差異を検討し,一側乳癌患者の対側乳癌発生の危険率について検討した.
原発性群では転移性群に比して,第一癌から第二癌発生までの期間が長, MIRROR IMAGEの頻度が高いなどの特徴をそなえていた.また原発性群では,第一癌,第二癌共にtnm病期で病期I, IIが多く認められたが,転移性群では,病期III, IVが多く,原発性群の予後は良好であった.両側乳癌は一側乳癌に比較し小葉癌の頻度が高く,転移性群では硬癌が多く,原発性群では乳頭腺管癌が多く認められた.原発性,転移性の両群共に第一癌と第二癌の組織型は必ずしも一致しなかった.一方,原発性両側乳癌の粗発生率は, 3.4%であり,一側乳癌発生患者の対側乳癌発生の危険率は正常婦人の乳癌発生危険率より高いと推定された.この高危険率の原因を究明する事が重要であると考えられる.

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