日本臨床外科医学会雑誌
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先天性胆管拡張症に合併した胆嚢癌の2例
窪田 敬一高橋 寿久長谷川 周二河合 大郎原口 義座斎藤 慶一若林 利重
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1985 年 46 巻 12 号 p. 1636-1642

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抄録
短期間に経験した先天性胆管拡張症に合併した胆嚢癌の2例を報告する.症例Iは44歳男性.右背部痛,発熱を主訴に入院. ERCPで総胆管は紡錘状拡張を示し,戸谷分類のI (c) 型で,膵管合流型合流異常を示した.手術は胆摘,総胆管切除,肝管-空腸吻合術を施行した.病理は乳頭管状腺癌で, Stage IIIであった.症例IIは47歳,女性.右季肋部痛,発熱を主訴に入院.腹部超音波検査で,胆嚢内腔に隆起性病変あり,胆嚢癌を疑った. ERCPで総胆管は紡錘状拡張を示し,戸谷分類のI (c) 型で,膵管合流型合流異常を示した.手術は胆摘,総胆管切除,リンパ節郭清,肝管-空腸吻合術を施行した.胆嚢癌肉眼所見はStage Iで,病理は乳頭管状腺癌であった.
最近,膵管胆管合流異常が,先天性胆管拡張症の発生要因としてばかりでなく,発癌因子の可能性としても注目されている.当院で経験した先天性胆管拡張症は26例であるが,検討できた19例中14例が膵管胆管合流異常を有していた.又,今回の2例を含む胆嚢癌合併4例においても,全例に膵管胆管合流異常(膵管合流型3例,胆管合流型1例)が認められており,発癌との関係が考えられた.
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