抄録
教室で扱ったsepsis患者12例について呼吸循環動態を測定し,特に酸素代謝との関連について検討した.
対象12例は急性汎発性腹膜炎11例,腹腔内膿瘍1例であり,全例感染巣除去の目的で開腹手術を施行した.測定は術直後より平均6日間計150回行った.
Sepsisでは,心指数4.41/min・m2以上の高心拍出量を示す場合が多く,これに伴い末梢血管抵抗も低下し,いわゆるhyperdynamic stateとなる傾向が認められた.
酸素代謝についてみると,心拍出量の増加に伴い,動静脈血酸素濃度較差の低下が著明となり,また酸素消費量の増加も対照と比して軽度であった.
術後72時間までの経過をみると,心指数は術後48時間にても増加している例が多く,また動静脈酸素濃度較差,酸素消費量も対照群に比較して術後長期にわたり有意に低値を示していた.
以上の結果より, sepsisにおいては末梢での酸素摂取の障害が存在し,心指数の増加はこの代償作用であると考えられた,また術後経過においては,酸素摂取の障害が長時間改善せず,酸素消費量も低値をとり亢進した酸素需要を十分に満たしていない可能性がありcriticalな状態の続くことが示唆された.
Sepsis患者の術後管理においては,単に血行動態のみならず酸素代謝に関する指標まで測定し,これらの改善を図るよう努めることが重要と考えられた.