抄録
主として肝硬変症に基づく食道静脈瘤に対して手術を施行した際の術前後における血清アルブミン(Alb),プレアルブミン(PA),レチノール結合蛋白(RBP),トランスフェリン(Tf)と術前の肝障害の程度ならびに術後静脈栄養時のエネルギー投与量,アミノ酸投与量との関連を検討した.同時に,脂溶性ビタミン特にVit. A, Vit. EについてRBP,総脂質との関連および脂溶性ビタミン投与との関連について検討し,以下の結果を得た.
1) Albは術前のアルブミン非投与時には術前ICG 15分値, Ch-Eと有意の相関を示したが,術後のアルブミン投与時にはアルブミン投与量とよく相関した.
2) 術前のPA, RBPは術前ICG 15分値, Ch-Eとよく相関し,術後にはエネルギー投与量,体重の変化とも有意の相関を示した.
3) 術後合併症発生例では術前のPA, RBPは低値を示す傾向があった.
4) 術前のVit. A, Vit. Eは術前ICG 15分値が高値を示すほど低値を示した.また術前のVit. Aは術前のRBPと正の相関を示した.
5) 脂溶性ビタミン非投与例では投与例に比べ術後のVit. A, Vit. Eは明らかに低下した.
以上, PA, RBPは肝障害の指標,術後栄養効果の指標および術前手術危険度の指標として有用であると思われた.また術後静脈栄養時には,水溶性ビタミンのみでなく脂溶性ビタミンの投与も必要であると考えられた.