日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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外科領域における複数菌感染症の臨床的・実験的検討
大久保 憲小谷 彦蔵宇佐見 詞津夫林 周作李 武志上岡 克彦山中 雄二南 宗人加藤 克己稲垣 宏加藤 勉井沢 義雄由良 二郎品川 長夫
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1986 年 47 巻 1 号 p. 25-35

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抄録

日常外科臨床において複数菌感染を経験する事が多く,その場合,いかなる細菌が感染の主役を演じ,感染の場を構成しているかを見きわめるのは重要な課題である.外科臨床上頻度の高い各疾患をとり上げ検討してみた.
今回は,胆汁,虫垂内容,腹膜炎腹水,腹腔ドレーンそして感染創よりの分離菌1,093株を対象とした.複数菌感染を示したものは全体の42.3%に達し,特に腹膜炎では65.5%であった.菌の組合せでは, Escherichia coliBacteroides fragilisの組合せが一番多く,逆にB. fragilisは,その98.1%が,他の菌とともに検出された.複数菌感染による感染菌力の変動をみた実験では,明らかに複数菌感染での感染菌力の増強がみられた.そして,複数菌感染に対する抗菌薬の投与では,高いMIC値を示す菌を対象として,化学療法を行なうべきである事が示唆された.

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