日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
Print ISSN : 0386-9776
ISSN-L : 0386-9776
胃癌における非治癒切除の適応と限界
入山 圭二森 寛司西脇 寛寺西 正鈴木 宏志
著者情報
キーワード: 胃癌, 非治癒切除
ジャーナル フリー

1986 年 47 巻 2 号 p. 168-171

詳細
抄録

胃癌における非治癒切除術の適応と限界を知る目的で検討をおこなった.過去10年6カ月間に取り扱った初回胃癌治療例500例中,肉眼的非治癒切除が行なわれた101例と非切除例97例について累積生存率を求め,さらに非治癒切除例については術後生存期間を従属変数とし,年齢,組織型, P, H, N, S因子を独立変数とした多変量解析・数量化I類を用い諸因子の生存期間にあたえる影響を検討した.その結果,非治癒切除症例の生存期間を短縮する因子は, 39歳以下の若年者, 60歳以上の高齢者,低分化型腺癌, P2以上, H (+), N4, S0が生存期間を大きく短縮し,一方40~59歳,分化型腺癌, P1以下, HO, N3以下, S1の各因子が生存期間延長に作用した.生存期間短縮因子を3個以上もつ群と2個以下の群に分けて生存率を求めると,前者は後者に比べ有意に生存率は劣っていたが,非切除群と比べると良好であった.生存期間を短縮する要因を4個有する群では非切除群と差のない生存曲線を示し生存期間の延長が期待しえずmass reductionsurgeryの効果は期待できないと考えられた.

著者関連情報
© 日本臨床外科学会
前の記事 次の記事
feedback
Top