日本臨床外科医学会雑誌
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化膿性尿膜管嚢腫の1例
加瀬 肇小林 一雄吉雄 敏文
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1986 年 47 巻 2 号 p. 245-249

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抄録
尿膜管嚢腫は感染を伴うと膿瘍を形成し,外科的治療を要する.今回われわれは腹壁膿瘍で発症した化膿性尿管嚢腫の1例を経験したので報告する.
症例. 49歳女性.昭和58年1月頃より臍下部の硬い腫瘤に気付いていたが放置.同年6月頃より臍周囲の疼痛が出現したため来院し入院となった.入院時,腹部超音波検査, CT検査を施行し化膿性尿膜管嚢腫を疑ったが,炎症症状が強かったため直ちにドレナージ術を施行した.術後瘻孔造影を施行し,臍との交通を確認し得た.炎症症状軽快後,摘出術を施行.術中の検索では臍と膀胱へ延びるcordが認められた.
本疾患は本邦報告例は過去20年間に88例であり,比較的めずらしいが,腹部膿瘍として処理されている例も多いと思われる.腹部腫瘤で腹痛,膀胱炎様症状を認めたら本疾患も疑い,超音波検査, CT検査等で精査することが必要である.
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