日本臨床外科医学会雑誌
Online ISSN : 2189-2075
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外科侵襲期における新組成高濃度分岐鎖アミノ酸液の術後代謝に及ぼす影響に関する検討
丹正 勝久天野 定雄松本 修一東 義治森田 建
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1986 年 47 巻 4 号 p. 405-410

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抄録
教室では,消化器外科手術症例に対し,新組成の高濃度分岐鎖アミノ酸製剤TA-3712Xを用いたTPNを行い(T群),その術後代謝について,従来の市販アミノ酸製剤(P群)との比較検討を行った.
窒素平衡についてみると, T群は早期に正転し, P群に比して有意の改善をみた.また,血清総蛋白,アルブミン値については両群間に有意差を認めなかったが, rapid turnover proteinについてみると,プレアルブミン,レチノール結合蛋白に,有意差は得られないものの7日目より, T群が高値を示し,また,トランスフェリンは, 7日目にT群がP群に比して有意に高値を示した.尿中3-Methylhistidine排泄についてみると,両群ともTPN開始後減少する傾向をみせた.
以上より,術後TA-3712X投与により,筋蛋白異化の抑制とともに蛋白同化促進効果が得られ,効率的な蛋白代謝の行われることが推測された.
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