抄録
教室では,消化器外科手術症例に対し,新組成の高濃度分岐鎖アミノ酸製剤TA-3712Xを用いたTPNを行い(T群),その術後代謝について,従来の市販アミノ酸製剤(P群)との比較検討を行った.
窒素平衡についてみると, T群は早期に正転し, P群に比して有意の改善をみた.また,血清総蛋白,アルブミン値については両群間に有意差を認めなかったが, rapid turnover proteinについてみると,プレアルブミン,レチノール結合蛋白に,有意差は得られないものの7日目より, T群が高値を示し,また,トランスフェリンは, 7日目にT群がP群に比して有意に高値を示した.尿中3-Methylhistidine排泄についてみると,両群ともTPN開始後減少する傾向をみせた.
以上より,術後TA-3712X投与により,筋蛋白異化の抑制とともに蛋白同化促進効果が得られ,効率的な蛋白代謝の行われることが推測された.