日本臨床外科医学会雑誌
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外科患者の術前栄養評価
山中 英治西 正晴細田 信道渡辺 直日置 紘士郎山本 政勝
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キーワード: 栄養評価, 身体計測
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1986 年 47 巻 5 号 p. 552-560

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抄録
外科患者,特に悪性消化器疾患例では入院時すでに栄養不良に陥っていることが少なくない.したがって栄養状態を的確かつ迅速に把握することは重要である.今回は昭和59年1月より12月迄に当科に入院した成人患者324人について,各種栄養指標を用いて栄養評価を行ったところ以下のような結果を得た. 1) 身体計測値では,上部消化管進行癌において%ideal body weight (%IBW), %triceps skinfold (%TSF)が著明に低値を示した.また胆石症で%TSFが比較的高値であった. 2) total protein, albuminなどの血清蛋白値ではStage IVの胃癌症例がStage Iに比して有意に低下していた. 3) 術前術後などの短期間の栄養状態の動きにはrapid turnover proteinが鋭敏であった. 4) %IBWと%TSF, prealbuminとretinol binding proteinとビタミンA値はそれぞれ相関関係を示した.入院時または長期の栄養状態の評価には%TSFとalbuminが,経日的な評価にはrapid turnover proteinが有用であると考えられた.
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