日本臨床外科医学会雑誌
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複数の胆道奇型を合併した先天性胆嚢欠損症の1例
佐埜 勇内藤 伸三福田 裕中山 康夫安積 靖友藤本 彊春井 正資山室 隆夫
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1986 年 47 巻 6 号 p. 788-792

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抄録

先天性胆嚢欠損症に複数の胆道奇型を合併した1例を経験したので報告する.
症例は27歳の女性,右季肋部痛を主訴として来院.超音波検査にて胆嚢は描出しえず,総胆管結石と診断し手術を行ったところ,胆嚢はなく,術中胆道造影にても胆嚢陰影は欠損し,さらに肝内胆管拡張,膵管胆管合流異常及び肝内結石を認めた.肝内胆管は両葉の末梢分枝まで狭窄・拡張が多発性にみられ,右葉胆管内に結石像を認めた.総胆管は胆管型の合流異常を呈し,合流部より4cmに渡り径2mmと細かった.ドレナージ手術は逆行性胆道感染を起こす可能性が高いため施行せず総胆管切石術, T-tubeドレナージにとどめた. 1年5カ月後の現在経過順調である.本症例のごとく胆嚢欠損症に複数の胆道奇型を合併した症例では外科治療上諸種の問題点が存在する.本症例を集計し文献的検討を加えた.

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