日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌におけるリンパ球浸潤の検討
予後因子および健存率との関連について
西 律岡島 邦雄冨士原 彰黒本 成人田口 忠宏松井 昭彦西村 淳幸関本 嚴黒川 彰夫
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1986 年 47 巻 9 号 p. 1173-1180

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抄録

乳癌の原発巣にみられるリンパ球浸潤(LI)の程度を低いものから高いものへLI(-), (+), (++)の3段階に分類し,リンパ球浸潤の予後に対する影響を明らかにする目的で,リンパ球浸潤と乳癌の予後を左右する諸因子および健存率との関連について検討を加えた.この結果,リンパ球浸潤は乳癌の悪性度を表すホルモンレセプター,核異型度および核DNA量と密接な関連を有し, LI(++)例はホルモンレセプター陽性率が低く,核異型度の高異型度例,核DNA量ヒストグラム上のdiploid type以外のtypeにおいて有意に高率にみられ,健存率はLI(++)が最も低率であった.
以上より累積健存率でみる限り,乳癌におけるリンパ球浸潤は予後を良好とする宿主反応とはいえず,原発巣の悪性度を反映する組織学的所見と考えられる結果であつた.

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