抄録
後腹膜腫瘍は比較的稀な疾患であり,また腫瘍がかなり大きくなるまで発見されにくいが,最近の画像診断の発達により,術前診断される症例が増加している.
昭和49年1月より, 60年12月までの12年間に教室で経験した後腹膜腫瘍症例は24例であり,そのうち組織診断の明らかなものは19例であった. 50歳台にピークを認めたが,著明な性差はなく,また特有な臨床症状も認められなかった.術前検査法として, CT・血管造影および超音波検査にて, 72.7%, 85.7%, 72.7%が局在診断が可能であり,良性悪性の鑑別診断率はそれぞれ90.9%, 85.7%, 90.9%であり,極めて有用であると考える.