日本臨床外科医学会雑誌
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胆石の分類とその含有金属濃度
久田 友治田中 敏子松田 裕之西野 豊彦増田 英隆草場 威稜夫細川 哲哉森山 正明
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1987 年 48 巻 10 号 p. 1624-1630

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抄録

「日本における胆石の新しい分類」が示されたのを契機に,胆石の種類別に含有Zn, Cu, Mn, Fe, Mg濃度を対比し,その評価を試みた.なお,測定には原子吸光分析法を用いた.
1. 各金属の含有濃度はいずれも純コ石が最低値を示し,混合石,ビ石,黒色石の順に有意に増加した.この所見に赤外線吸収スペクトル法による成分分析結果を加えて多変量解析を行ったところ,種類別に明確に判別された.
2. 純コ石ではZn, Cu, Mnの濃度に差はなく,混合石ではZnに比べてCuとMnが有意な高値を示した.また,ビ石ではCuがMnに比べて有意な高値であったが,黒色石では差がなく, CuとMnはともに著しい高値であった.
すなわち,純コ石と比べて混合石ではCuとMnの増加が相対的に大であり,ビ石に対して黒色石ではMnの相対的な増加が注目された.
以上の所見から,金属濃度からみても「新しい分類」の意義は大きく,とくにCuとMnの濃度には胆石形成機序の差がうかがわれた.

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