日本臨床外科医学会雑誌
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腹壁瘢痕ヘルニアの症例検討
佐藤 太一郎七野 滋彦片山 信山本 英夫牧 篤彦河村 健雄鈴木 秀昭水野 伸一
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1987 年 48 巻 11 号 p. 1826-1832

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抄録

腹壁瘢痕ヘルニアは開腹術後の遅発性合併症である.最近10年間に経験した31症例を検討して次のような結果を得た.
男5例,女26例で女性に多く,年齢別では60歳代が11例で最も多かった.部位は上腹部正中5例,下腹部正中13例,右下腹部10例,その他5例であった.開腹術から1年以内に発症した10例と, 10年以上経過して発症した13例を比較すると,両群のヘルニア発生要因は異るように思われた.
ヘルニア内容を知るためには従来の検査に加えてコンピュータ断層撮影(CT)が有用であった.手術術式はヘルニア内容が発生時期など,症例によって差はあるが, 1. 嚢は切除せず利用するよう内飜を考える. 2. 筋膜の縫合は成るべく横縫い. 3. 補綴または補強を必要とするときは自家筋膜を使用する.此の方針で実施し,好結果を得た.

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