日本臨床外科医学会雑誌
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成人の先天性食道気管支瘻の1例
本邦例85例の検討
角村 純一宮田 正彦中尾 量保位藤 俊一中室 誠長岡 真希夫中村 正廣津森 孝生橋本 創中原 数也川島 康生
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1987 年 48 巻 2 号 p. 213-219

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抄録
症例は54歳女性.幼少児より感冒に罹患しやすく,肺炎に2度罹患した. 12歳頃から,食事,特に流動物摂取時の咳嗽発作が認められていた.今回,上部消化管透視にて偶然,食道気管支瘻を指摘された.瘻管は中部食道から左主気管支に通じていた.手術は左開胸にて行ない,肺門近くに瘻管を認めた.瘻管は容易に剥離ができ周囲に炎症所見は認められなかった.左肺下葉に病変を認めなかったため,手術は瘻管の切除のみにとどめた.瘻管は全長にわたり重層扁平上皮に被われ,固有筋層にて全周がとり囲まれていた.また炎症性細胞の浸潤は認めなかった.以上より本症例は先天性の食道気管支瘻と判断した.本疾患は比較的稀な疾患で,本邦報告例に自験例を加えた85例を検討した.
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