日本臨床外科医学会雑誌
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脾嚢胞状リンパ管腫の1例
上田 耕臣川嶋 寛昭青木 洋三勝見 正治
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1987 年 48 巻 2 号 p. 262-266

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抄録
最近,比較的まれな脾嚢胞状リンパ管腫の1例を経験した.症例は, 57歳の女性で心窩部痛で来院し,多房性の脾嚢胞を認め脾摘除術を施行した.組織学的には嚢胞壁は,一層の扁平な内皮細胞で破われた,良性の嚢胞状リンパ管腫であった.本疾患は, 1885年初めて報告されて以来, 1982年までに47例が報告されているのみである.本邦では自験例を含め23例が報告されているにすぎない.本症は比較的若年の女性に好発し,上腹部腹満感などの症状で発症することが多い.上部消化管造影, CTスキャン,超音波検査などで大小の多発性の嚢胞がみられれば,術前診断が可能である.治療は嚢胞の破裂,出血なでの合併症予防と隣接臓器の圧迫を除く目的で脾摘除術が一般的である.
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