抄録
腸管脂肪腫に起因する2例の成人腸重積について報告する.症例1では回腸末端部の脂肪腫に対して回盲部切除術を施行した.症例2では上行結腸の脂肪腫に対して上行結腸部分切除術を施行した.腸管脂肪腫は腸重積等の合併症を起こして初めてその存在が知られる事が多く,手術症例でも術前診断は困難である.本稿では,過去の文献を参考にし,腸管脂肪腫と腸重積とのcorrelationについて検討した.さらに腸重積の診断の上で, CTで認められるcoil ring appearance及びエコーで認められるmultiple concentric shadows等が重要である.