1988 年 49 巻 12 号 p. 2242-2247
362例の原発性乳癌を若年者群,中間群,高齢者群に分け,各群間で臨床病理学的事項を比較検討した.
主訴は各群とも腫瘤触知が大部分であった.病悩期間は高齢者群で最も長いという傾向にあった.病理組織型については浸潤癌通常型では年齢層との間には一定の傾向は認められなかったが,非浸潤癌は中間群のみに認められた.腫瘍径については高齢者群でT3以上の大きいものが多かった.リンパ節転移については若年者ではT1でも転移率が高く, T2以上では高度転移例が多かった.高齢者群では他の群に比べ,転移率は低く,高度転移例は認められなかった.ホルモンレセプターに関しては中間群でその陽性率が最も高かった.予後は高齢者群が他に比べ,やや不良であった.