日本臨床外科医学会雑誌
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乳癌晩期再発例の検討
田中 規文高塚 雄一河原 勉
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キーワード: 乳癌, 晩期再発, 再発治療
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1988 年 49 巻 12 号 p. 2248-2251

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抄録

当施設における昭和42年1月より56年12月までの15年間の乳癌治癒手術542例のうち再発例は148例である.このうちDisease free interval (DFI)が5年以上の晩期再発例は18例であり,これらをDFIが2年未満の早期再発例および2年以上5年未満の中期再発例と比較検討し,以下の結果を得た. (1) 晩期再発例の平均年齢は47.1歳でやや若年に傾いていた. (2) 臨床病期ではst. Iが23.5%で早期例が多かった. n因子でもn0が55.6%と転移度の少ないものが多かった. (3) ホルモン・レセプターを検索しえた5例はすべてER (+)であった. (4) 再発形成は軟部組織,骨再発が多かった. (5) 再発後生存期間は延長していた. (6) 初回治療として軟部組織再発の5例に外科的治療が,また全身療法では内分泌療法が中心であった.
以上より晩期再発例は再発後も生存期間の延長が期待される.従って軟部組織再発には積極的な外科的治療が,また全身療法では内分泌療法を第1選択にすべきであると考える.

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