日本臨床外科医学会雑誌
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転移性甲状腺癌の2例
小林 薫八代 亨鈴木 章真鍋 嘉尚尾崎 修武伊藤 國彦濱名 元一三村 孝石原 恒夫
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1988 年 49 巻 5 号 p. 814-819

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抄録

臨床的に問題となる転移性甲状腺腫瘍は稀である.腎癌の甲状腺転移のように外科的療法によって良好な予後の得られる症例があるが,予後不良の症例が多い.したがって,転移性甲状腺腫瘍の症例の予後を改善するには,その早期診断が重要である.
症例1は48歳の女性で,圧痛を伴った多結節性甲状腺腫を有していた.転移性の未分化腺癌と診断され,原発巣の検索により,胃癌の甲状腺転移と判明した.化学療法を開始したが,短時日で不幸な転帰をとった.
症例2は58歳の女性で,甲状腺左葉に結節を有していた. 7年前直腸癌のため根治術, 4カ月前その肺転移のため左肺切除を施行していた.甲状腺左葉切除を施行し,組織診で直腸癌の甲状腺転移と確認した.患者は術後経過良好である.

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