日本臨床外科医学会雑誌
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胃全摘後Braun吻合部腸重積症の1例
小縣 正明黒木 輝夫
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1988 年 49 巻 5 号 p. 860-864

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抄録

胃全摘術後12年目に吐血および腹痛を主訴として急性発症したBraun吻合部腸重積症の1例を報告する.
症例は59歳の男性で,胃癌にて胃全摘術の既往あり.術前に,超音波検査でmultiple concentric ring signを認め,腸重積症と診断し,さらにCT,消化管透視,内視鏡検査による検索を総合してBraun吻合部腸重積症を疑った.開腹所見は,胃全摘後の再建方法として結腸前B-II法, Braun吻合付加が施行されており, Braun吻合部の約20cm肛門側より上行性に生じた三筒性腸重積症であった.重積部腸管の壊死化を認めたために腸切除を行った.
胃切除後腸重積症の診断には何よりも本症の存在を念頭に置くことが重要であるが,超音波検査では腸重積症に特徴的な所見が得られるので,極めて有用な検査法と考えられる.

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