日本臨床外科医学会雑誌
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胆管癌との鑑別が困難であった限局型の原発性硬化性胆管炎の1例
中川 秀和中郷 良蔵大山 正史吉田 栄一小林 努黒河 達雄真鍋 俊治小林 省二
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1988 年 49 巻 5 号 p. 892-898

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抄録

中部胆管の限局性隆起性病変のために閉塞性黄疸をきたし,胆管癌を疑ったが術後に原発性硬化性胆管炎(Primary Sclerosing Cholangitis: PSC)と診断された1症例を経験したので報告する.
症例は75歳,女性で黄疸を主訴に来院した.胆管造影で,三管合流部の十二指腸側での完全閉塞を認め,中部胆管癌の診断により膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では膵上縁の胆管に限局した隆起性病変(12×12×3mm)を認め,病理組織学的にPSCと診断された.
過去6年間に本邦で文献報告されたPSCは23例で,そのうち限局型は8例である.これらの症例を集計し,若干の考察を行った.

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