日本臨床外科医学会雑誌
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早期胃癌の適正なリンパ節郭清範囲の検討
とくにpm癌との比較において
胡 祥岡島 邦雄山田 真一磯崎 博司
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1988 年 49 巻 7 号 p. 1140-1146

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抄録

早期胃癌に対する合理的な手術,すなわち適正なリンパ節郭清の範囲を求める目的で1978年8月より1986年12月までに大阪医科大学一般・消化器外科において切除された早期胃癌(R2以上郭清例)274例を同時期のpm癌82例と比較し,リンパ節転移の特徴,早期胃癌の発育,進展様式および遠隔成績につき検討した.その結果,リンパ節転移率はm 癌4.9 % , sm-1癌7.9% , sm-2癌22.4%, pm癌45.1%であった.早期胃癌では, C領域には転移を認めなかったが, A領域の低分化型癌には19.4%の高率なリンパ節転移がみられた. sm-2癌中U1(+)群, 発育様式H 型, 進展様式微小点在型はpm癌と同程度の高率なリンパ節転移を認めた. 以上の転移率の検討から原則として, 早期胃癌に対するリンパ節郭清はR2または重点的なR3郭清が必要と考えられるが, C領域での早期胃癌の内, 長径1cm未満のものに対しては縮小手術の適応になる可能性があると考えられる.

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