日本臨床外科医学会雑誌
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術後早期再開腹症例の検討
里見 昭石田 清榎本 清文甲田 英俊朝来 野弦栗原 茂勝森田 孝夫時松 秀治
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1988 年 49 巻 8 号 p. 1331-1335

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抄録
手術手技や管理が向上しているにも拘わらず合併症のため,やむを得ず再開腹に至る症例は少なくない.今回,教室開設以来約14年間に経験した術後早期再開腹症例92例を前期,後期に分け,臨床的検討を行った. (1)発生頻度は3%前後で差がなかった. (2)原因として前期で多かった縫合不全が減り,後出血,腸閉塞,膿瘍が増加していた. (3)再開腹の時期は前期は1~8日に,後期は14~21日にピークがあった. (4) 30~80歳が77%を占め,中でも高齢者の割合が高かった. (5)原疾患は大腸27例,胃十二指腸26例が多く,良性がやや多かったが,予後は良性22%,悪性46%と原疾患が悪性の死亡率が高く,特に肝,胆,膵系の予後が悪かった. (6) 92例中30例が死亡し,多くは1~2週目の術後早期に再開腹されたもので高齢者が50%を占めていた.高齢者では種々の臓器の潜在的機能低下や併存疾患が予後を左右しており,再開腹の適応を厳密にし,又,初回手術時に二重,三重の備えとチェックを行う事が大切である.
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