日本臨床外科医学会雑誌
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梅ぼしの種による大腸癌イレウスの1例
内田 晃亘井上 章岡 昭高橋 泰夫岡崎 信彦
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キーワード: 結腸癌, 異物誤嚥, イレウス
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1988 年 49 巻 8 号 p. 1440-1444

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抄録

梅ぼしの種(異物)により発症した大腸癌イレウスの1例を経験したので報告する.本症は本邦において,初めての症例と思われる.一方,外国ではこのような症例が4例報告されている.
症例は62歳男性で大腸癌潰瘍部に梅ぼしの種が嵌頓しイレウスが生じた.結腸左半切除を施行してはじめて異物によるイレウスと判明した.異物の嵌頓部位の観察から,腫瘍の口側部ではロート状で滑り易く,潰瘍部の肛側では急峻な立ち上りを呈するため潰瘍部に嵌頓したものと推測した.普通の大腸癌イレウスにおいても,もし便が硬ければこのような理由でイレウスが起こるかもしれないと思われる.

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